マンホール(222):稲城市で見つけた多摩地区の東京都水道局蓋

ご存知のように、東京都水道局は23区部のほか、多摩地区の26市町でも上水道事業を多くは委託の形で運営している。
例外は武蔵野市・昭島市・羽村市・檜原村で、これらの市・村では自前の運営を行っている。

かつては26市町でも独自に水道事業を持っていたところが多い。しかし高度成長期の急激な人口増加などから、サービスの質や費用面において区部との格差が生まれ、社会問題化していたという(戦前の東京市郊外でも、町営水道や矢口水道あたりが同様の問題を抱えていたはずだ。歴史は繰り返す)。
いろいろあって1973(昭和48)年に小平市・狛江市・東大和市・武蔵村山市の4水道事業が都に統合されたのを手始めに、1982(昭和57)年の立川市までに25市町が都に統合。2001(平成13)年に三鷹市との統合がなされ、今に至っている。統合の遅かった三鷹あたりでは今でも市章入り水道蓋は街角でよく見かけるのだがそれはまた別の話。
(この段落は「多摩川誌」より 3.4.2 都営一元化の実施等のウェブサイトを参照)

こういう歴史を反映してなのか、区部と多摩とでは都章が入っていても意匠が異なる蓋が使われている事例がよくあるようだ。
という長い前置きのわりにはさして掲載する画像はないのだが…。

mh222東京都郊外水道 (1) mh222東京都郊外水道 (2) mh222東京都郊外水道 (3)
これらは稲城市の京王よみうりランド駅前で昨春撮影したもの。制水弁×2と消火栓である。
駅付近を5分程度歩いて見つけた範囲のものだ。
コンクリート充填型の縁は都区部ではふつう見かけないものである。
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マンホール(220):変わり地紋の「水道配線用」蓋

先日手書きテレメータ記事を書いていて、その存在を思い出した蓋である。

mh220都水道配線用大塚 (1)
「水道 配線用」とある蓋。ふつうの水道局蓋は凹凸のレベルが2段階で、地紋の凸部と文字部分が同じレベル(地紋の凹部と文字部の背景も同一レベル)になっているが、これは地紋凸部と文字背景部が同じで、その上にさらに盛り上がって文字が鋳出されているのが珍しい。
水道で配線ということは、これこれのように、やはりテレメータ用途のものだろう。実際にこの蓋のそばには制御装置ボックスらしいものが立っていたはずだ。

mh220都水道配線用大塚 (2)
同系統のデザインの「排水室」蓋と並んでいる。

mh220都水道配線用大塚 (3)
「水道 排水室」。

文京区大塚にて。

マンホール(218):江戸川橋のハンドメイド・テレメータ蓋

昨日の逓信省蓋記事の、いちおう続きであります。

   ※   ※   ※   

ところでいきなりですが。
愛蓋趣味の世界には、天下に一枚しかないとされる蓋がいくつか知られている。
そのような天下一蓋はいきおい骨董蓋に多く、例えば
千駄ヶ谷町下水・人孔丸蓋
巣鴨町下水道・角蓋
高田町下水・角蓋
西巣鴨町下水・雨水桝蓋
目黒町水道・消火栓蓋
荒玉水道・複排気弁蓋
などがある。

しかしこれらの物件は、厳密を期して言うならば「かつて複数あったうちの唯一の現存例ではないかと目されている蓋」にすぎない。他に1枚たりとも残っていないことを証明するには、当該地域において完全なる虱潰し蓋見を行うしかなく、当局(上下水道局かあるいは警察力か)でもない素人の力ではまず無理だ。さしずめ悪魔の証明とでもいうべきか?

本当に天下一と言い切れる蓋となると、その蓋を要する設備が世界に一箇所しかない物件(例:木之元神社の井戸蓋)か、あるいは製作過程上一品物でしかありえないような物件に限られてしまうのだ(ごくたまに通し番号が鋳込まれた蓋を使う事例があるらしい。これも確かに一品物ではあろうが、本稿で問題にしているものとは別と考えていただきたい)。

一品物? そんなんあるのか? マンホールというと多量生産の工業品でしょう? 
…とまあ普通そう思うだろう。しかし、あったのです。一品物。

   ※   ※   ※   

昨日の記事の三枚目画像奥に写っていたものだ。

mh218 (1)
これだ。どう思うか。

mh218 (2)
拡大。これは出来合いの消火栓か何かの蓋の文字を削り取り、鉄線を溶接でもしたものでしょうかね。
タの字だけちょっと大きくて不格好で、なんとなくテレメー夕(ゆう)にも見える。よく見ると文字の周りに鉄の雫がポツポツ落ちて固まっているし。
どうでしょう。これを天下に一つ並ぶものなき蓋と認めることに問題があるだろうか。似たような経緯で手づくりされた蓋は他所にもあるかもしれないが、このヘロヘロの字体等がそっくり再現されているはずもない。
おめでとうテレメー夕蓋、きみはオンリーワンでナンバーワンだ。やったぜ。

mh218 (3)
もういちど、逓信省蓋とのツーショット。

なおこの物件は他の記事でいちど紹介しているもの。

マンホール(216):水道排水栓の新仕様蓋

骨董蓋の記事が続いていたが、今回は一気に時代を飛び越えて新しいものを紹介する。
水道排水栓に関しては、当ブログの初期にきわめて簡単な記事を書いたことがあるが、今回はその続き。

前の記事では排水栓の用途すら書かれていないが、これは要するに配水管路網の末端に置いて、管内に汚濁などが生じた際に排出するための設備だ。
構造としては消火栓と変わらないことから、災害時に消火栓と同様に用いようとする協定が、東京消防庁と都水道局の間で締結されたことは記憶に新しい(そんなの知らんというツッコミは無用だ)。
上のリンクには都区内に400余個存在するとある。いっぽう別の情報源によると都内に5000ヶ所あるそうだ。まさか三多摩や島嶼部に4600個あるとは思えない(実際のところ1590個との情報があった)ので、5000というのは多分集計方法が異なるのだろう。おそらくこれらの記事にある簡易排水栓4600基を含んだ数値だと思われる。


mh216都水道排水栓最新 (2) mh216都水道排水栓最新 (3)
これは池袋の外れの住宅街で見つけた設置されたばかりと思われる真新しいもので、上の過去記事のものと似ているが若干字体が異なる。なんとか車が通れるくらいの狭い道だった。

mh216都水道排水栓最新 (1)
これは高円寺北の路地で見つけた、やはり設置直後らしきもの。上のような斜め格子地紋ではなく、カタカナのハの字を連ねたような地紋が特徴的で、消火栓等の他種の蓋ではこの地紋はまだ見たことがない。

マンホール(214):東京市水道局の紋章入りコンクリ小蓋

都内の特に都心部を歩いていると、わりとよく出くわすのがこの手の鉄枠+コンクリート製の小さな丸蓋である。

mh201全生庵 (1)

これについては以前の記事を参照頂きたい。
この蓋の用途は明示されてはいないが、大きさや設置場所から察するに制水弇阻水弇制水弁と同様と考えてよさそうだ。
設置年代も判然とはしないが、コンクリート製人孔蓋同様、昭和一桁後半~物資欠乏の戦中戦後あたりが盛期ではないかと思われる。

さて、上掲の蓋であるが、これはコンクリ部分に都章が陰刻されていて鍵穴部分には特段の意匠がないデザインだ(都章は摩耗したものが多く、中にはもともと陰刻が無かった気配のある蓋もある)。

これに対し、コンクリ部分に都章がないかわり、鍵穴部分になにやら彫り込んである蓋があることが知られていた。林丈二「マンホールのふた」24頁にも写真と解説が掲載されているが、文中で林氏はこの紋章を「日本水道史」(1927)掲載の東京市水道(267頁)のものと比定している。

「マンホールのふた」刊行当時には「旧東京市15区内の区域で時々見かける」ものであったというこの蓋だが、今日ネット上で報告されている例は港区白金千代田区霞ヶ関新宿の3例のみではなかろうかと思う。

個人的にはこの様式の蓋はいずれも行きそびれていて未見であった。しかし昨日、湯島三丁目梅光町会の物件を探しに該地に赴いたところ、偶然この蓋を見つけることが出来た。




mh214東京市水道章 (1) mh214東京市水道章 (2) mh214東京市水道章 (3)
雨に濡れていたせいもあり資料写真としてはいまいちだ。ともあれ肝心の紋章は見て取れよう。これを含む4例とも、鍵穴の向きは(紋章中の*を人孔紋章学の常識に従って「水」と読み解いた場合)横方向となっている。

mh214東京市水道章 (4)
所在地。ストリートビューでも見えます↓。


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Author:rzeka
マンホール等探索者。

因果なことにアカデミックニート=人文系大学院生でもある。
rzekaはポーランド語で川の意。因みに発音はIPAだと[ˈʒɛka]になる。「じぇか」に近い音。



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