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2010年に観た映画(完全版)

さて、12月も半分が過ぎた。これから先、さほど積み増しはなさそうなので、もう今年の名画座通いの総括をしてしまおうと思う。
昨年版に倣って、月ごとの本数からまとめよう。

1月 4本
2月 4本
3月 4本
4月 7本
5月 2本
6月 5本
7月 2本
8月 4本
9月 5本
10月 6本
11月 10本
12月 9本

締めて 62本である。続いて劇場別は以下の如し。

ラピュタ阿佐ヶ谷 14
シネマヴェーラ渋谷 11
早稲田松竹 8
神保町シアター 8
フィルムセンター 7
銀座シネパトス 6
新文芸坐 4 
チェコセンター 2
試写類 2


昨年の120本、一昨年の101本に比べると激減してしまった。忙しい時期が多かったのと、暇な時期に食指の動く企画が少なかったせいである。観に行く意欲自体は落ちていないのであるが……。
劇場は今年は分散した。特定のところに通いつめるという時期がなかったせいだろう。折角無料になったフィルムセンターを活用できてないのが悔やまれる。

去年はベスト13を選んだのだが、今年それだけ選んでしまうとえらくハードルが下がる気がするので、ちょっと減らしてベスト8。順番は見た順で、順位は付けない。
・「Wの悲劇」(澤井信一郎/1984/角川映画)
 研究室の熱烈な薬師丸ファンが激賞していたので、神保町シアターで採り上げられたのを機に見てきたのだ。いわゆるアイドル映画にこれほどのものがあるとは! 全く予想外だった。印象的な落ち着いた演出は澤井信一郎独特のものだそうだ。それにしてもラストのストップモーションは反則だと思う。
・「燈台」(鈴木英夫/1959/東宝)
 原作は三島由紀夫の戯曲。一時間ほどの中編なのであるが、室内劇の構造をそのまま上手いこと映像化した例。サスペンスの鈴木英夫らしい締まった印象の好編。シネマヴェーラにて。DVDなし。
・「東北の神武たち」(市川崑/1957/東宝)
 これまた中編。原作は「楢山節考」の深沢七郎。東宝脇役男優がズラリと出ており、脇役マニアとしては気になっていたのだ。深沢七郎的東北ってのはなかなかマジックリアリズムに通づるところがある。フィルムセンターにて。DVDなし。
・「怒りの孤島」(久松静児/1958/日映)
 そんなにたいした映画ではないのだが、滅多なことでは見られない貴重な作品なので選んだ。日映は、大映から独立を図るもこの一本を撮ったのみで潰されたいわくつきの会社。本作は実際にあった「舵子事件」(瀬戸内の孤島の漁村における、子供の人身売買-使役-虐待事件)を基にした告発的な映画で、制作当時は小学校の映画会などで盛んに上映され、子供たちにトラウマを遺したという。新橋のうらぶれた試写室にて。当然DVDなし。
・「独立機関銃隊未だ射撃中」(谷口千吉/1963/東宝=宝塚映画)
 岡本喜八の「独立愚連隊」の流れをくむ戦争映画シリーズの一本。谷口千吉後期の代表作。トーチカを舞台とする密室劇で、これまた脇役マニア(特に堺左千夫ファン)歓喜のキャスティング。ラピュタ阿佐ヶ谷にて。DVDなし。
・「さびしんぼう」(大林宣彦/1985/東宝配給)
 大林作品は妙なエフェクトを多用する辺りが痛々しくてなかなか観る気がしないのだが、これに限ってはよい。
・「妻の心」(成瀬巳喜男/1956/東宝)
 成瀬はいまアメリカではクロサワ、オズ以上に熱烈なファンを獲得しているらしい。一体どのへんが受けているのか気になって、食わず嫌いの成瀬をなるべく見ようと思っている。黒澤「素晴らしき日曜日」と並ぶ、日本三大喫茶店開業志願映画(あと一本はなんなのか知らない)。神保町シアターにて。DVDないかも。
・「千年女優」(今敏/2001)
 夏に急逝した今敏の追悼上映からはこれを選ぶ。もとはそれほど好みではなかったが、「女優が追い求める」かつ「女優を追い求める」映画であるという二重性に気づいて評価は一変した。虚実が入り交じる演出に賛否あるようだが、元役者にインタヴューすれば自然と言葉の上では実人生と映画はあのように混じり合うんじゃないか。それを一種忠実に絵にしてみせたということかなと思う。


なんだか物足りないので、企画・館別ベスト5も出してみよう(自分が見た本数の多い順5つではなく、好企画だと思ったものである)。
・東宝娯楽アクションの雄 谷口千吉監督の仕事 (ラピュタ阿佐ヶ谷:06/06 ~ 07/10]
・俳優・夏木陽介 風の中を走る! (銀座シネパトス:09/25 ~ 10/29)
・尾道三部作一挙上映&今敏追悼三本立て (早稲田松竹:09/25 ~ 10/01、10/30 ~ 11/05)
・川島雄三「シブ筋」十八選 (シネマヴェーラ:10/09 ~ 10/29)
・生誕百年 映画監督 黒澤明(国立フィルムセンター:11/09 ~ 11/26)
※ヴェーラだと「映画作家・鈴木英夫のすべて」も良かったけれど、個人的に未見の作品の数は多くなかったので外した。

ざっとこんなところである。
これから控えている企画では、ラピュタ阿佐ヶ谷の徳川夢声特集、シネマヴェーラの溝口特集、銀座シネパトスの小林桂樹追悼特集あたりが気になる。

(12/16仮集計公開; 12/17一本追加; 12/21三本追加; 12/27一本追加; 2011/01/01完全版公開)
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Author:rzeka
マンホール等探索者。

因果なことにアカデミックニート=人文系大学院生でもある。
rzekaはポーランド語で川の意。因みに発音はIPAだと[ˈʒɛka]になる。「じぇか」に近い音。



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