新刊「東京ぶらり暗渠探検」を讃える!

先日書店で「東京ぶらり暗渠探検 消えた川をたどる! (洋泉社MOOK)」なるムックを見つけた。
恐らくは本邦初の暗渠探訪に特化した文献ではなかろうか(勿論、実務家向けの技術書とかは探せばあるんだろうけど)。

執筆にあたったのは「世田谷の川探検隊」の管理人氏など四名で、サイトを見てもわかるように通り一遍ではない深い暗渠談のできる御仁である。
従って、こうしたムック本にはややもすると見られる、適当なライターに資料だけ渡して適当にでっち上げさせただけの浅い文章とは一線を画しているのが素晴らしい。



内容は主に【神田川】【渋谷川】【目黒川】のそれぞれの支流や【江戸城濠】周辺を扱った章と、【松庵川】【東大下水】【神田川笹塚支流】などの流路をたどる章など。
見ての通り、必ずしも代表的な暗渠を取り上げているわけではない。「河骨川(春の小川)」やら「渋谷川(キャットストリート)」やらの有名暗渠も勿論取り上げてはいるが、無名暗渠もまんべんなく扱う姿勢に好感を持てる。というのも、ある程度多くの水系を網羅しなければ「水の東京」全体の姿は立ち現れてこないと思うからだ。そうでなければ、線的な流路が起伏に富んだ水系という三次元の空間に再構築される醍醐味が味わえないと思うのである。


それにしても題材の選択と取材力は素晴らしいものだ。
杉並区の地形図を開くと西荻窪駅北西から南東方向に伸びる谷筋が描かれているのは前から気になってはいたのだが、これが前述の「松庵川」である。記事を読むと、なんと以前当ブログでも扱ったマンホール(2)追記の水路跡が、まさにその流れの一部であったとのことだ。これは盲点でした。
また、「東大下水」とは、私が再三扱った東京大学の下水蓋とは無関係で、これは要するに本郷菊坂下道の流れであった。そんな名前だったのか、初めて知った。以前の記事「マンホール(32)」なんかはちょうどこのあたりの蓋だ。

通り一遍ではなく多彩な暗渠を取り上げていながら、この本は少数のマニア向けのものではなく、「暗渠」という言葉さえ初めて知る方々にも十分に楽しめる入門書ともなっているのではないか。「松庵川」などというマイナー暗渠を扱いつつ、このとっつきやすさは理想的な仕上がりではなかろうか。


                       
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因果なことにアカデミックニート=人文系大学院生でもある。
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