団地の映画:「彼女と彼」(1963・羽仁進)

名画座に通って昭和3~40年代の日本映画を観ていると、かなり当時の団地の映像に出くわす確率が高い。
住宅公団による団地は当初、新しい生活スタイルの舞台としてかなり人気と羨望を集めたときく。
それゆえか、映画のなかでは団地の暮らしは肯定的に、理想的な生活として描かれていることがしばしばある。勿論、そうでないことも。

「彼女と彼」(1963・羽仁進)はそうでないものの先駆的な例だ。詳しい粗筋の紹介はこのあたりに任せる。
粗筋の通り、この作品では団地とバタ屋部落が対を成している。片や堅気の砦、片やまつろわぬ遊民の巣。
いかにも陳腐な二元論ではあるが、丘の上にそびえる団地の威容の迫力は確かに圧倒的なものがある。
石版でも立てたような住棟群はきわめて硬質なイメージで、山下菊二演ずる奇妙なバタ屋―異物―にとって侵入のし甲斐があるものとなっている。良識の城である団地の住人にしてはどこかズレた感のある左幸子が、異物を引き入れる「堤の穴」として機能している。

それにしても、異物の眷属たる盲目の少女がまるで近藤聡乃のマンガ(これとかこれとか)から抜け出たようで凄まじく怖い。

作中に百合ヶ丘駅が出てくる。ロケ地も順当に百合丘第一団地とみてよいだろう。3~4棟固まって建つスターハウス(空中写真by国土地理院の中央右寄り)も劇中の風景と符合する。
他にも団地の出てくる古い映画は多い。
久松静児「わんぱく天使」や川島雄三「しとやかな獣」等、1960年代の傑作佳作群を追い追い紹介できればと思う。
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